「大切なのは、さらけ出す力!?」 大手社員がベンチャー企業に行って気づいた本当に大切なこと

—お祭り、教育、アプリ開発、三者三様のレンタル移籍

2019年2月某日。

東京・日本橋のコワーキングスペース「Clipニホンバシ」にて、企業間レンタル移籍サービス「ローンディール」を利用した、移籍者たちによる報告会「LoanDEAL Salon vol.9 レンタル移籍終了報告会」が行われた。

企業間レンタル移籍サービス「ローンディール」とは、大手企業で働く社員が一定期間ベンチャー企業に行き、事業開発などの経験を行い、自社に戻った後にその経験を活かす、という実践型のプログラム。

イベント「LoanDEAL Salon レンタル移籍終了報告会」は、移籍を終えた経験者たちが、これから移籍をする人や現在移籍中の人たちに向けて、自身の経験を発表する場として定期的に行なわれている。

第9回目となる今回は、2018年11月に移籍が終了した株式会社オリエンタルランドの大内花菜子さん、小川拓志さん、そして2019年1月に終了した株式会社NTTドコモの亀山直季さんによる発表が行われた(※報告発表順)。

—オリエンタルランドから全国のお祭りを盛り上げるベンチャーへ

まずは株式会社オリエンタルランドから、半年間、株式会社オマツリジャパンに移籍した大内さんの発表。オマツリジャパンはお祭りを通して日本を盛り上げることをミッションに、全国のお祭りの企画運営などをサポートするベンチャー企業。

オマツリジャパンの法被を着て、発表してくれた大内さん

入社以来、オリエンタルランドでイベント企画を担当している大内さんは、「ゲストにもっと楽しんでもらえる企画を考えたい、そのために外の世界を見る必要がある」と、自身の成長のため、移籍を決意。

移籍先では、全国のお祭りの協賛事業の立ち上げを行っていた大内さん。

気づきとして、前例がない中で新しいことを実現するためには「信頼関係の構築」が大切とのこと。

ある自治体への提案にあたり、今まで自治体との取り組み経験もなければ、縁もゆかりもない土地だったため、大内さんにとっては、ハードルの高い提案だった様子。それでも、取り組みに対する想い、熱意を拙いながらに先方に懸命に伝えたところ、その想いは届き、見事取り組みが実現。真摯なコミュニケーションによって、信頼関係が構築できたことが大きかった、と語る。

参加者からの質問で、「もっとやっておけば良かったと思うことは?」と聞かれ、

「自分の取り組みが、(オマツリジャパンの)新たな事業の突破口にはなったが、仕組みづくりまでやりたかった!」と、半年間では時間が足りなかった様子。

—可能性を感じたらすぐに始める、それが重要

続いては、同じくオリエンタルランドから半年間、株式会社LOUPEに移籍した小川さん。

LOUPEは、センセイノートという、先生コミュニティを運営する教育系ベンチャー企業。小川さんは、生きたビジネスの場で経験を積みたいという想いから、自ら「修羅場を経験したい!」とレンタル移籍に手を挙げた。

ユニットマネージャーを務めていた小川さんがチャレンジすることになったのは、教育プログラムの営業。

今まで、教育領域はもちろん、B to Bの営業経験もない中で、なかなか業務に慣れず、仕事に行くのが辛いと思った時期もあったとのこと。しかし、最初は話すらまともに聞いてもらえなかった営業も、諦めずに続けた結果、いくつかの企業と契約が決まり、チームとして出た結果が自らの自信にも繋がったと語る。

自身の経験を赤裸々に語ってくれた小川さん

得たこととしては、今までは、悩んで悩んで答えをしっかり出してから物事を進めるというやり方だったが、今は「悩んでるんだったら失敗してもいいからやる」「可能性を感じたらすぐに小さく始める」ということが重要だと感じている、とのこと。

また、参加者からの質問で、「何が一番辛かったか?」と聞かれ、「今までは戦略がある中で自分の業務を行っていたが、360度どこに行ってもいい、つまり戦略が決まっていない、という状況の中で自分のアクションを決めていくのは辛かった」と胸の内を話す。

—大切なのは“さらけ出す力”、「分かりません」は恥ではない!

そして最後の発表者は、株式会社NTTドコモから株式会社VALUに移籍した亀山さん。

VALUは、なりたいものや、やりたいことがある人を継続的に応援するためのSNSアプリ。亀山さんはiOSエンジニアとしてジョインした。

NTTドコモで、人事から事業開発まで幅広い経験を持つ亀山さんが、今回エンジニア職にチャレンジした理由は、自社で事業開発を行う際、その肝となるサービス開発を迅速かつ柔軟に対応できていない現状に危機感を覚えたから。顧客の課題にもっと寄り添い、もっと早く柔軟に対応するために、最小限の人数・コミュニケーションロスを実現するために、自社でも開発フェーズからできるようになる必要があると感じ、それを体現しているベンチャー企業のエンジニアの現場へ行くことに決めた。

ベンチャー企業でのエンジニア経験を熱く語ってくれた亀山さん

亀山さんは、専門エンジニアではないため、移籍初日から、まずは現場で飛び交う用語がまったく分からない、という現状を目の当たりにする。

そこで自分に「馬鹿になれ!」と言い聞かせたという。それを亀山さんは「さらけ出し力」と名付けた。

「分かりません」は恥でもなんでもない、とにかく分からないことはちゃんと聞いて、助けを得る。あとはそれをできるようにひたすら努力するだけ、そうすると自ずとできるようになってくる、と熱弁。

移籍で感動したこととしては「お客様の満足度を高めていく開発スピードの速さ」。

その背景には、皆、熱量が高く、プロダクトへの愛情を持っているということ、そして、誰もが何かの得意領域を持っていることにあると語る。

今後、NTTドコモで新規事業創出に携わる亀山さんは、「事業は5名でできる!」というVALUで学んだ精神を活かし、熱量高いチーム作りと顧客に寄り添ったモノづくりを行っていきたいと意気込みを話す。

発表を終えた3名に会場からは盛大な拍手が送られ、その後も、移籍終了者、移籍中の方、これから移籍する方々などが交じり合い、自分の想いや経験を語り合うなど、熱いトークは夜遅くまで続いた。

End

 

提供:株式会社ローンディール
report:小林こず恵

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