『データで読み解くレンタル移籍』
1. レンタル移籍者の属性
レンタル移籍者の平均年齢 32.8歳。最年少は25歳、最年長は50歳。レンタル移籍期間は、主に6ヶ月または12ヶ月の方が多く、平均すると9.2ヶ月となりました。職種は、研究開発(25%)と営業(23%)が半数近くを占めます。また移籍者の方のうち1割弱が部下を持つマネージャー職以上の方です。
2. 働く環境の比較
もともとの所属先に比べて、移籍先となるベンチャーは会社の年数、人数など、社長の年齢含めて若さが特徴です。一方で過去には創業103年の企業や、地方の社団法人・NPOにレンタル移籍をした方もいます。
3. 導入した大企業の実態
●導入企業一覧
●レンタル移籍導入の目的
導入している大企業の目的は「新規事業の創出」が一番多く全体のうち約半数。また「組織風土を改革しうるリーダー育成」についても、約4割の企業が目的にあげています。
●導入までにかかった期間/リピート率
4. レンタル移籍中の様子
●移籍期間中の『パフォーマンス』自己評価グラフ
移籍期間中の『パフォーマンス自己評価』の平均はこのような傾向になりました。ベンチャーに行って最初は、慣れない環境で苦戦して低いスタート。3ヶ月目頃が試練の時。仕事との向き合い方・成果の出し方に悩みながら、これまでの自分から脱却すべくもがきます。ここを越えると6ヶ月目までは徐々に自己評価が上がり半年の方は終了。そして1年間の方は、半年すぎたあたりで2回目の試練。ここを乗り越えもう一歩成長し、半年よりも高い状態で移籍期間の終了を迎えます。
●週報で内省した文字数
期間中、レンタル移籍者は週報を書いています。これは経験したことを振り返り、自分の言葉で気づきや学びを蓄積することで成長を最大化することをねらいとしています。100名のレンタル移籍者(現在移籍中の人も含む)の合計の文字数はなんと約27万文字!
また、一番文字数が多かった方は、週報1年間で109,498文字にまで上りました。
●ローンディールが驚いた「それは無茶振りじゃないかミッション」ランキング
5. レンタル移籍終了後の活躍
●イノベーターDNA診断数値の変化
レンタル移籍の前後で受ける「イノベーターDNA診断(*1)」。移籍を通して全般にスコアが伸びる傾向にありますが、中でも人脈を広げる「ネットワーク力」ダントツで向上。他には「観察力」「関連づける力」「実験力」「現状に異を唱える」などのスコアも伸びが見られます。
*1)イノベーターDNA診断とは?
スティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾスなどの世界を代表するイノベータの思考・行動特性や、AppleやAmazonなどのイノベーティブな文化を持つことで知られた組織についてのクレイトン・クリステンセンのグループの研究の成果に基づいて作成された診断です。
●戻ってからの担当業務
レンタル移籍者は戻ってからどんなことに取り組んでいるのでしょうか。まず既存事業に関わっている方が約45%。既存事業部での新サービス・新規企画の立ち上げや部署内のDX推進などを担当しています。また多くの企業が導入目的として掲げている新規事業に携わっているのは約43%。進行中の新規事業に参画するだけでなく、自ら新規事業を起案し事業を推進している方もいます。
●レンタル移籍者が戻ってから担当業務で出したプレスリリース数
●外に出たまま、移籍元に戻って来なかった人
導入を検討する企業が一番気にかけるのは「外を見たら戻ってこないのではないか?」です。結果として、そのまま自社に戻らず退職をした方は、これまで一人もいません。(なお、移籍元企業の都合 [吸収合併]にともなう転職が1名、復帰後1年以内の転職は2名となっています。)
6. 成長を支援する構造
レンタル移籍者は一人の挑戦は、たくさんの人に支えられています。送り出す移籍元の人事担当者、移籍者の直上司、そして挑戦の期間を伴走するメンターや、ローンディールなど、平均して一人あたり10人がレンタル移籍者を取り囲みます。そして様々な場面で”よってたかって”移籍者の成長を支援しています。
7. ベンチャー企業の活用実態
●受け入れ人数の多いベンチャー企業ランキング
●「レンタル移籍者をまた受け入れたいですか?」に対するベンチャー企業の回答
レンタル移籍は、大企業人材の育成・イノベーションを創出できる組織作りだけでなく、ベンチャー企業の事業推進を支援する側面もあります。これまでに72社のベンチャーが人材を受け入れていますが、移籍終了後のアンケートでは9割が「また受け入れたい」と回答しています。
※印刷用はこちらよりご覧ください。
今後もローンディールは「レンタル移籍」を通じて、大企業における人材育成や、イノベーションを創出できる個性・多様性を活かした組織作り、およびベンチャー企業の事業推進を支援してまいります。
そして、一人でも多くの人が境界を超えてお互いに刺激を与えあい、挑戦が波紋のように広がっていく社会の実現に向けて取り組んでまいります。