「モヤモヤしていた私が副業をきっかけにワクワクを取り戻すまで。 」ローンディール 東 香織
こんにちは、今年(2021年)4月にローンディールへ入社した東です。
といっても、昨年8月より副業として参画しており、個人的には6月現在、入社11か月目を迎える気持ちです。現在はオペレーションマネージャーとして、大企業人材が一定期間ベンチャーで働く「レンタル移籍」の運営管理と、全社横断のデータ基盤整備を担っています。
ちなみに、ローンディールと出会ったのは2020年1月。社会人生活10年が過ぎ、絵に描いたようなキャリアに対するモヤモヤ感を抱え、焦って始めた副業にも失敗するという(笑)、どこにでもいる普通の会社員でした。この記事では、そんな私がローンディールでの副業生活の中で気づいたことや工夫したこと、その結果、モヤモヤが晴れ、ワクワクを取り戻すまでのお話をしたいと思います。
目次
「人生=仕事」だった私。
出産を経て、仕事に熱中できなくなった
前職は株式会社リクルートキャリア(現 株式会社リクルート)という会社で、約25名のデータ分析アシスタントスタッフ組織のマネージャーを担っていました。入社以降、中小企業向けの営業・営業企画、少しだけ販促企画も経験するなど、3年前後のジョブローテーションを経験しました。私は、自社のサービスが大好きで、ストレッチした目標を次々提示してくれる環境の中、持ち味を活かしながら大きなやりがいを感じていました。
そんな、控えめに言って愛社精神に溢れていた私に訪れた転機。それは「出産」でした。出産を経て、育休を取得していた私は、働く自信をすっかり失ってしまったのです。今から2年前のことでした。
私の社会人生活といえば、人生=仕事そのもの。熱中できる仕事が目の前にあることが嬉しくて、やればやるだけ成果が出るし、期待にはもっともっと応えたい。仕事に没入する、幸せな毎日でした。
それが、出産を機に一変。乳幼児との暮らしはとても本能的で、眠たければ寝る。雨が降っていたら家で過ごす。その時々の衝動や天候に対しても、すごく敏感になりました。気力・体力の続く限りできることを増幅させていく仕事スタイルから、気の向くままに、やらない・できないことが増えていく暮らしへの変化。自分にとっては大きな判断軸の変化に、戸惑いと驚き、そして何より心地よさを感じていました。
一方、仕事への不安も抱えるようになります。
「このまま復職して、以前と同じように期待に応えられるのだろうか」。
「『べき』で自分を鼓舞できるだろうか。それが『したい』のだろうか」。
モヤモヤした気持ちの中、退職する決断もできぬまま復職しました。
しかし、いざ復職してみると、思いのほか環境に適応する自分がいました。そもそも、リクルートは育児と仕事の両立に対してとても理解のある職場でしたし、女性特有の経験と得意が活かせる配置をしていただいたと思います。それでも、“あともうひと踏ん張り”できていないんじゃないかという自信のなさがいつも頭の中にありました。昼夜問わず働き続ける同僚、スピード感あふれる事業。ついて行きたい自分と、子どもとの本能的な時間に引き戻される自分との葛藤でした。
「私は成果を残せるだろうか」「子育てを言い訳にしていないか」「この停滞感は本当に出産や育児が原因なのだろうか」「いつから仕事が『たい』から『べき』になってしまっていたのか」「このままでは純粋に『非活躍人材』として、キャリアが頭打ちになってしまうのではないか」。
こんな風に、モヤモヤとした問いがいつも頭の中にあったのです。
「レンタル移籍」と出会って。副業という選択
そう考えていた頃、たまたま、ローンディールと出会い、「レンタル移籍」を知りました。大企業からベンチャー企業へ一定期間人材を送り、価値創造や事業開発に取り組む「レンタル移籍」。それも「日本的な人材の流動化を創出する」ことをミッションに掲げ、転職ありきではない新しい流動化に挑戦しているということがわかりました。
言い換えると、会社に在籍しながら外の世界で非連続な挑戦をする機会・自分と向き合う機会を提供している、ということ。当時自分が抱えていたモヤモヤ感への処方箋としてぴったりのサービスでした。自分もレンタル移籍をしてみたい。もっと言えば、私と同じようなモヤモヤを抱えた誰かが、もう一度心の炎を燃やせるようになるといい。そのためにできることがあればやりたい! 心の底からそう、思いました。
思い立ってすぐ飛び出したか、というとそんなことはありません。
前職での役割はきっちり果たしたかったですし、仮に退職するとなっても最短で3か月後、引継ぎを考えると半年は先になることがわかっていました。では、今やりたいこの気持ちはどうしたらいいのか。
そこで選んだのが、「副業」という形での関わり方でした。
「副業」というと本業のおまけ、みたいな印象になってしまうのが本意ではないのですが、私の場合、本業ではフルタイムで働きつつ、ローンディールでも月40時間強稼働するというのが通常のワークスタイルでした。友人に話すと結構驚かれるのですが、リモートワークが主流になった今、物理的に不可能ではないのですよね。
もともと通勤にあてていた1時間と、昼休憩や終業後に数時間捻出できれば、この位は稼働することができます。また、有休をうまく使えばまとまった時間稼働することも可能です。時間を確保できれば交流する機会も増えるため、馴染むことができるし、仕事のキャッチアップも進みます。時間はすべてではないですが、習熟するにはやはり一定以上の時間をかける必要はありますから。
ちなみに、ローンディールは、短時間勤務で働くメンバーも業務委託で参加するメンバーも複数いることから、働き方にとても寛容です。そうした環境も手伝って、副業初期からほとんど社員の一員であるつもりで働いていました(笑)。
しかし、これが副業の当たり前かというと、そんなことはありません。
実は、ローンディールに参画する前、人生初の副業は別の企業で経験していました。
当時はまだリモートワークが主流ではなく、副業していることに罪悪感すら持っていました。月の稼働は5時間程度。副業は「本業でギリギリまで残業をした上でも切り出せる最小限の時間を使ってやるもの」「あくまで業務委託、コミットメントレベルが社員と違って当然」と無意識に線引きしていたように思います。実際、深夜残業をしてへとへとになって帰宅した後、睡眠時間を削って稼働していました。
もし、収入を増やすための副業であればこうした副業もありなのかもしれませんが、私が副業に求めていたことは「やりがい」「非連続な挑戦」。これが、たった月5時間の稼働で、健康的な生活を犠牲にして手に入るわけがありません。副業をスタートして間もなく、数か月という短い期間で契約を終了したのでした。
副業して変わった。モヤモヤからワクワク
初めての副業は失敗経験として刻まれているのですが、ローンディールでの副業と一体何が違ったのか。それは「向き合い方」だったと思います。
・「本業>副業」という序列を作らず柔軟にスイッチを切り替えながらワークすること
・雇用形態にこだわらないこと
・このマインドを醸成するために一定以上の関与時間を確保すること
削ぎ落していくとこの3点に尽きるのですが、これによって「複数コミュニティを持つことの効用」を得ることができました。
副業を始める前の自分は、「人生=所属企業での仕事」であり、物理的にも精神的にもコミュニティと呼べる場は所属企業だけで、過度に会社と同質化し依存していたと思います。そこに何の違和感も持たずに暮らし続けられるのであれば最高に幸せな状態だと思うのですが、私の場合、出産育児というある種の受動的な越境体験を通して価値観が変わってしまったため、モヤモヤが発動。しかし、自分の居場所は所属企業にしかないので、このモヤモヤに蓋をして元の状態に戻らなければいけないのだ、と変化を否定する自分もいて、板挟みになり苦しむ羽目になりました。
これが、副業を通して複数コミュニティを持った結果どう変化したか。「人生=一つの所属企業での仕事」という数式が崩れ、あるコミュニティと自分の関係性はこう、もう一つのコミュニティと自分の関係性はこう、と、自分とコミュニティを切り離して捉えることができるようになりました。こうなると、同質化を求める自分が出現しなくなり、あるがままの自分でそれぞれのコミュニティに向き合うことができるように。気分がいいのはもちろんですが、それ以上に、所属企業に対する自分ならではのWILL(こうしたいという意志)が復活し、「もっとこうしたい」と提案ができるようになりました。
気が付くとモヤモヤは晴れ、ワクワク働けるように。あくまで私の場合ですが、所属企業から自分を引き離し、個としての自分を取り戻した結果、同質化していた頃の自分よりも却って所属企業に貢献したいという意思が強くなり、社内の当たり前にとらわれない提言をするなど、行動が起こせるようになりました。
誰もが自分の働き方をデザインできる、変えられる
働く中で違和感やモヤモヤを感じた時、
「会社を改革する」
「(自分を殺して)環境に慣れる」
「転職する」
という選択肢はよく耳にします。私はこれに加えて、「自分の『働く』をデザインする・変える」ということも、今や多くの人が叶えられるのではと思っています。副業を含め、外の世界に一歩踏み出すことはこの方法として有効ですが、大切なのは一歩の大きさより、その機会にどう向き合うか。
4月、私は転職の道を選びました。
正直に言うと、所属企業でやりたいことを提案している真っ最中だったので、少なくとも実現するまでは働き続けたい、とも考えました。しかし、軸足(所属企業)を変えた時何が起きるのか、まだ見ぬ自分に出会ってみたいと思い、飛び出すことに決めました。前職の上司には、「戻りたくなったら土下座するので戻らせてください」と冗談半分でお願いしています(笑)。
転職と同時に新しい副業先で別のお仕事も始めました。複数コミュニティを持つことが自分らしく意欲的に還元するために有効な手段だと再認識しながら、キャリアデザインの観点でも様々な業務経験や期待を両立できるということは大きいな、と感じるこの頃です。
そして、「もし転職しなかったら…」という妄想も沢山します。
自由研究的にやりたいこと、徹底的に技を盗みたい上司のこと、社会人年次が上がるにつれて怠っていた周囲を知り自分を知ってもらう努力をすること。もしかしたら、自分は変化したのではなく「初心に帰った」のかもしれません。そしてこの気持ちを胸に、今まさに企業に籍を置きながら未知に挑む移籍者の皆さんを、全力でサポートしたいと思います。
文=東 香織
【レンタル移籍とは?】
大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計47社 134名のレンタル移籍が行なわれている(※2021年6月1日実績)。