メンタリングの完全自動化!?「ChatGPT」活用方法について議論してみた

「chatGPTを活用したら、もしかして”メンタリング”も自動化できてしまうのでは…?」AIチャットボットのchatGPTの利用が広がる中、ふと生まれたのはそんな問いでした。

ローンディールが運営する、大企業に所属しながら一定期間ベンチャー企業で働く「レンタル移籍」。そして、その挑戦者である移籍者たちを支えるのが「メンター」という存在。メンターによるメンタリングは、移籍中の経験や内省を深めるためには欠かせないものとなっています。

そんなメンターのみなさんとともに先日開催したのは「内省や伴走にChatGPTをどう活用するかを学びあう会」。今回は、会の内容とともに、具体的なchatGPTの活用方法やメンタリングの質向上を議論した、リアルな勉強会の様子をお届けします!

どのような活用の可能性があるのか?

chatGPTは、「メンタリング」においてどのような活用ができるのでしょうか? そして、例えばもしレンタル移籍のメンタリングの中で活用するとしたら、どのような方法があるのでしょうか?

移籍者は、移籍中の経験から得た学びをより深めるため、週報・月報として「その週・月に得た気づきや学び」をテキストでアウトプットし、内省を行います。そして、その壁打ちの相手となるのが「メンター」。移籍者1人に1人のメンターが伴走し、週報・月報の返信に加えて、月1回の1on1にて振り返りをしています。

ローンディールのメンターは、スタートアップの立ち上げや大企業の新規事業の経験者、現役のベンチャー企業の経営者など、まさに多彩なキャリアを持つ人々。何より人の成長や挑戦を応援したいと思うメンバーが集まっています。

ある日、一人のメンターから「もしかして、週報や月報を全部読み込ませれば、完全自動応答でメンタリングが叶ってしまうかも!?」と、冗談半分で話したことをきっかけに、chatGPTの活用の勉強会の場が企画されたのでした。

勉強会は、zoomとローンディールオフィスでのハイブリッド開催!

勉強会では、chatGPTの活用経験のあるメンターより、ローンディール社員によって作成されたダミーの週報や月報を用いて、実際のレンタル移籍のメンタリングを想定した形での活用例をシェアしてもらいました。

果たして、「chatGPT」が「メンター」になることはできるのでしょうか!?

chatGPTを「経験豊富なメンター」にしてみた

実際に、こんな事例とテキストでchatGPTに問いかけてみました。

例えば・・・

・まず「役割を与えて」、何をしてもらうべきかを依頼する
例:「あなたはビジネス経験もマネジメント経験も豊富なメンターです。以下は大企業がベンチャー企業にレンタル移籍している人の週報です。400文字以内で返信文を考えてください。」

・より内省を深める問いを考えてもらう
例:「〇〇さんの内省を深める問いかけを教えてください。」

・内省のレポートに対する返信の評価をしてもらう
例:「〇〇さんに寄り添いつつ、気づきや刺激を与え内省を促すメンターとして、役割を果たせているか評価してください。」

・本人が直面しそうな「壁」をchatGPTに予測してもらい、メンタリングに活かす
例:「この人物が出向して直面する可能性のある課題や困難を予測してください」

・良いメンタリングをするための新たな観点をもらう
例:「私がよりよいメンターになるとすれば、それはどのような点ですか」

・・・など、これらの内容を踏まえて、chatGPTを活用できるポイントとしては、

・自分と異なる視点を示唆してくれそう
・抜けた論点を出してくれそう
・過去との矛盾を洗い出すことができそう
・何が言いたいのかわからないことでも要約してくれそう

と、AIならではの網羅性や高い要約スキルを活かした点が上がりました。

一方で、

・AIが生成した文章で、メンターの人格が出てこない
・広く浅く一般的な文章にとどまる
・なんか、chatGPTっぽいな(笑)と思われそう

総じて全体的に「人」感がないこと。「人間味」「人格」がないことによってメンタリングが進まない、受ける側も自己開示ができない。そんな意見が多く上がりました。

深い内省をサポートする、chatGPTの活用法

メンタリングのすべてをAIで完結するのは難しいけれども、質を向上させるためには様々な活用方法があるかもしれない。
議論の中で生まれた、メンタリングに日々向き合うメンターならではの活用の数々のアイディア。その一部をご紹介します。

〇メンタリングを受ける側が、chatGPTを使用して一人で内省を深める習慣づけを日々することで、基本の内省スキルを高められるのではないか?
→内省が苦手な人に向けて、シンプルな「なぜ・なぜ」の深堀りの質問をchatGPTに問いかけてもらうことで、思考して言語化する習慣化ができそう。
〇内省記録の要約をchatGPTに任せることで、人間は対面でのメンタリングに集中できるのではないか?
→長期に渡ったり量の多いテキスト情報があるメンタリングの場合、chatGPTを活用することで状況を正確にとらえて、的確な問いを与えることができそう。
〇内省へのフィードバックや改善点を、あえてchatGPTに指摘してもらうことでスムーズに改善を促すことができるのでは?
→”言語化”自体が苦手な人の場合、表面的な文章にとどまりがちなテキストでの内省。「もっと詳細に」「深堀りが足りていない」などの改善コメントを、感情のないAIに伝えてもらうことで、逆に受け入れやすく行動につながるかもしれない。

AIツールならではの、”無感情さ”や反復性を活かせる可能性について話が上がりました。

そもそも、「良いメンタリング」とは何か?

chatGPTの話をきっかけに、メンター同士が意見を交わしながら共通して持っていたのは「良いメンタリングとは何か?」という問い。

レンタル移籍は、また十人十色の経験を持つレンタル移籍者を、これもまた十人十色な経験を持つメンターがサポートする仕組みです。一つとして近似の事例はない、唯一無二のプロジェクトが常に進行しています。

「メンターってある意味、孤独なんですよね」
メンターが勉強会中にそう話したように「メンター自身も、よりよいメンタリングとは何か?」ということに悩んだり、葛藤するというリアルがあります。

chatGPTの活用をきっかけに、それぞれ自身のメンタリングを振り返りながら、最新のテクノロジーも含めて「どのようにより良いメンタリングを実現するか」を自身の経験と照らし合わせて考える場となりました。

挑戦者の背中を押せるのは‟想い”

最新のテクノロジーは”活用”することができる。けれど、それぞれ人やプロジェクトの個性にあわせた「今最も必要な言葉や投げかけ」は、自動化・フォーマット化できないもの。

挑戦者自身が変わりたいことを願い、自分と向き合って内省を深める。そしてそれを最前線でサポートするメンターもまた「その人の変化を起こすために、自分は何ができるのか?」と、変化を応援する想いをもって向き合う。それでこそ、人のよりよい変化は生まれるはずです。

常に最適な手法を議論しながらも、常にその人にしか持てない想いで誰かの背中を押す。テクノロジーの勉強会の場は、改めて私たちが今本当に向きあうべきことを改めて実感する場になりました。

Fin

Report:大久保真衣

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