越境の先へ。僕らが「変容の連鎖」にこだわる理由-2026年 共同代表からの新年のご挨拶-
本年もよろしくお願いします。
ローンディール共同代表の、後藤幸起と大川陽介です。
2025年7月、創業10周年を機に共同で代表になりました。この節目に、僕らはあらためて考えました。この10年で何をやってきたのか。そして、これから何をしていきたいのか。今日は、そこで見えてきたことをお伝えしたいと思います。
目次
ー越境を取り巻く景色は、大きく変わった
振り返ると、越境を取り巻く環境は、この10年で大きく変わりました。
越境1.0:個人の冒険の時代
私たちがレンタル移籍を始めた約10年前、越境はごく一部のチャレンジャーがやることでした。「会社を辞めずに外に出る?無理でしょ」という反応がほとんど。転職か、残るか。二択しかなかった時代です。
越境2.0:副業解禁と選択肢の拡大
2018年頃から、副業解禁の流れが加速しました。「外を見てみる」という選択肢が増えたものの、多くの場合は「個人が勝手にやること」。組織として本気で取り組む企業は、まだ少数派でした。
越境3.0:組織が背中を押す時代へ
そして今。人的資本経営の流れの中で、「組織が社員の越境を後押しする」という考え方が広がり始めています。経産省も「越境学習」を推進し、企業の人材育成における重要な施策として認知されるようになりました。
これは、私たちが創業当時から夢見ていたことでした。
社会の変化とともに、その意義があらためて注目される今、私たち自身もまた、次のフェーズに挑戦していきたいと考えています。
ー僕らの新しいミッション
この10年を振り返りながら、私たちはミッションをあらためて言語化しました。
Mission:越境によって、変容の連鎖を生みだす。
このミッションは、3つのキーワードで構成されています。
「越境」「変容」「連鎖」それぞれに込めた思いを、少し深くお伝えさせてください。
① 「越境」ーーこの10年で確信したこと
私たちはこの10年、レンタル移籍を中心に、累計3,000人以上の越境をサポートしてきました。大企業82社、387名がベンチャーへのフルタイム移籍を経験しています。
そうした中で、越境が人や組織に与える変化を何度も目の当たりにしてきました。越境を通じて、人は変わる。組織も変わる。一人ひとりの変化を間近で体感してきた私たちだからこそ、このアプローチに確信を持っています。
② 「変容」——内面からの根本的な変化
僕らがあえて「変容」という言葉を選んだのには理由があります。
「変化」は、外面的な姿や形が変わること。
「変容」は、内部が変わった結果、外に現れた様子が変わること。
つまり、変容とは本質的・根本的な変化を指します。
スキルが上がった、知識が増えた、というレベルではなく、価値観が変わる。世界の見え方が変わる。「自分は、これをやりたい」という意志が芽生える。生き方が変わる。
私たちが起こしたいのは、そういう深い変化です。そしてこの変容は、個人だけでなく組織にも起きます。
越境人材をどう受け入れるか。どう活かすか。その変化をどう組織全体に広げるか。個人の変容と、組織の変容。私たちはこの両方を見据えています。
③ 「連鎖」——ひとりの熱が、組織を変える
そして、なぜ「連鎖」なのか。この10年でわかったことがあります。人を外に出すだけでは、組織は変わらないということ。
越境して覚醒し、熱源となって帰ってくる。でも、元の組織に戻ると、その熱が冷めていく。大企業には、急激な熱の高まりを冷ます高性能な仕組みがあります。慎重な意思決定、前例主義、リスク回避の文化。これらは、大企業に限らず、「組織」が生存し、成長するための有効な「仕様」でもあるのです。
そのため、たった一人の熱だけでは、なかなか超えられない。
じゃあ、どうすればいいのかーーー。
答えは、連鎖でした。
越境者が一人で頑張るんじゃない。その人の変容や熱が、周りに伝播する。影響を受けた人が、また動き出す。その動きが、さらに広がり、つながっていく。
実際、私たちはそういう瞬間を何度も目撃してきました。
ある大企業で起きた「連鎖」の話
ある大企業のR&D部門で働く方が、レンタル移籍でベンチャーに行きました。1年間の越境を経て、その方は大きく変容しました。技術志向だった方が、顧客価値を起点に考えられるようになった。情熱的な言動を表現するようになった。
でも、変わったのは本人だけではありませんでした。
送り出した上司も、こう語っています。
「越境者だけじゃない。私も変わらなきゃいけないと思うようになりました」
帰ってきた部下の変化を見て、上司自身のマネジメント観が変わった。「スキームよりもマインドを優先する」「情熱を傾けながら仕事に向き合う組織をつくる」——そんな意識が芽生えたといいます。そして、その変化は組織全体に広がっていきました。
「越境者のマインドの変化から影響を受けて、情熱を解放するような組織にどんどん変わってきているんです。我々が顧客に提供できる”価値”について、熱く議論する機会が増えました」
これが、変容の連鎖です。
越境者、挑戦者の変容が、それを応援してきた上司に連鎖する。その上司の変容に、チーム→組織が影響を受けていった実際のストーリーです。これが各所、各社で同時多発的に起こり、つながっていくことでまた新たな景色が見られるのではないかと信じています。
(参考:「自分も変わらなきゃいけない」。部下の越境がもたらした、上司の変化)
これまでは「波紋」だった。
これからは「連鎖」をデザインする
私たちはこれまで、越境の「機会」を提供することに力を注いできました。
・レンタル移籍:大企業の社員がベンチャーで働く、フルタイムの越境。
・side project:業務時間の20%、3ヶ月間で始められる越境。
・outsight:ベンチャーの事業課題をテーマに他社の人と議論するオンライン越境
一人でも多くの人に、越境のきっかけを届けたい。その思いで、選択肢を広げてきました。そして、越境した人が元の組織に戻って、「波紋」を広げてくれることを期待してきました。
しかし実際には、その変化が組織の中で連鎖するかどうかは、個人の力量や環境、運にまで大きく左右されてきました。越境後の活躍を仕組みとして支え切れていなかったことは、私たち自身の課題でもあります。
これからは、越境による変容が個人に留まらず、組織へと広がっていくプロセスやしくみそのものを、意図的に設計していきます。
これから力を入れていくこと
個人の変容を、より深く越境して終わりではなく、その人が本当に変わるところまで伴走する。価値観が変わる、世界の見え方が変わる、「自分は、これをやりたい」という意志が芽生える。これまで私たちがやってきたことを、さらに磨いていきます。
組織の変容に、踏み込む
越境人材が戻ってきたとき、組織がどう受け入れるか。どうマネジメントするか。その変化をどう周りに広げるか。経営課題や組織課題に、これまで以上に深く踏み込んでいきます。2025年から取り組んでいるMIMIGURIとの協業にも力を入れていきます。
連鎖が起きやすい環境をつくる
一人の熱が冷めないように。その熱が周りに伝わるように。連鎖が起きやすい環境、仕組みや空気、流れ、うねりを、一緒にデザインしていきたいと考えています。
そして、この連鎖は一つの企業の中だけに留まりません。大企業とスタートアップがつながり、セクターを超え、地域を超え、社会全体に広がっていく。そんなエコシステムをつくっていくことが、僕らの大きな探求テーマです。
ー2026年、一緒に連鎖を起こしませんか
長い文章を読んでくれて、ありがとうございます。
2026年は、僕らにとって大切なスタートダッシュの年です。
「越境させる会社」から、「変容の連鎖をデザインする会社」へ。
一人の変容が、チームを変える。 チームの変容が、組織を変える。 組織の変容が、社会を変える。その連鎖の起点に、あなたがいるかもしれません。私たちと一緒に、この問いを探求してくれる方、お客様も、パートナー企業も、ぜひ声をかけてください。
あなたの組織で、変容の連鎖は起きていますか?
その連鎖を、一緒にデザインしてみませんか?
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
2026年 1月23日
株式会社ローンディール 代表取締役 後藤 幸起 / 大川 陽介






