先入観を持ってはダメ、大切なのは目の前の相手をちゃんと見ること。【メンターVol.2 森清華さん】

現在キャリアコンサルタントとして、企業研修・キャリア研修をはじめ、ラジオ番組の運営等を行う森清華(もりさやか)さんは、2018年6月よりローンディールのメンターとして参画。
今まで、株式会社オリエンタルランド 大内花菜子さん(「オマツリジャパン」へ移籍)、アステラス製薬株式会社 神田直幸さん(「600」へ移籍)の2名の伴走をした。「メンターを通じて自身も成長している」と語る森さんに、メンターとしての想いを伺った。

森清華 profile
キャリアコンサルタント。2004年日本アジア投資株式会社入社。VC投資、共同ファンド(CVC)運営、IRや予算管理などに従事。2013年に独立し、ベンチャー企業の経営管理体制の構築を行う他、独立系VCのK&Pパートナーズ株式会社の創業メンバーとして事業連携支援に従事。2015年よりキャリア支援を開始。「経営者と社員間のコミュニケーションの調和」を図り、組織内のキャリア形成を支援する企業向けキャリアコンサルティング、教育研修、キャリアをテーマとしたラジオ番組の運営(パーソナリティ)を通じて、人の成長支援を行っている。

—森さんがメンターをすることになったきっかけは?

昨年、私がパーソナリティを務めるラジオ番組にゲストとして(ローンディール代表の)原田さんに出てもらったことをきっかけに、意気投合してお引き受けしました。

前職で大企業とファンドを運営するCVCの仕事をしていまして。異なる企業文化や経験、価値観を持つ人同士で一緒に新たなものを生み出すことの面白さや体験価値の重要性を強く感じていたので、レンタル移籍というサービスに関心を持っていました。
また、キャリアコンサルタントとして、人の可能性を広げ、成長を後押ししたいという想いがありました。

—メンタリングにおいて、心がけていらっしゃることは?

問いを投げかけて視野を広げたり、思考を深めたり、それらを通じて内省を促しながら、いかにその人の持つ可能性を最大限にできるかを一番大切にしています。そのためには先入観はNG。
「この人はこうだろう」と見立てをせず、目の前の相手をちゃんと見ること。それが、“その人らしさ”を活かす上で重要だと考えています。

仕事に限らず幅広く話をしながら、その方の価値観や肝となる部分を見るようにしています。その上でどのような言葉や表現を用いて関わるか、どのような内容を問いかけていくかなどを毎回考えています。

—印象に残っているエピソードは?

大内さんの場合、1on1での“ものすごく満ち足りた顔”を見たとき、その瞬間が本当に嬉しくて。

大内さんはオマツリジャパンという全国のお祭りを支援するベンチャー企業に移籍して、新規事業を任されていました。ちょうど移籍も後半に入り、取り組みがようやく形になるなど自信が生まれてきた頃、初めて自治体の大きなお祭りの企画をひとりで回すという機会がやってきて。
「やってみたいけれど、本当に自分にできるだろうか…」と、期待と不安が入り交じった状態でした。

「これは成長タイミング!」と思いました。
期待と不安という複雑な心境に加えてチャレンジできる舞台がある。これはまさに成長の時。「できるから自信を持ってやってみよう。大丈夫だから」と、自信を持って前に進めるようとにかく背中を押しました。そのプロジェクトを見事にやり遂げた時の、達成感と充実感に満ちた顔は今でもはっきりと覚えています。(※大内さんの移籍ストーリーはこちら

一方、神田さんの場合、キャッシュレス無人コンビニを展開している600というベンチャー企業で営業の仕事をしていました。組織への貢献は「営業数字をあげること」という想いを強く抱きながらも、新市場の創造は容易ではなく、なかなか成果があがらずに悩んでいました。
そこで、「貢献」について新しい視点で考えみようという話をしました。

それは「誰かのためになることをする」という“利他”の視点。これは600社が大事にするバリューの一つでもありました。
「周りに誰か困っている人がいるのでは? 困っていることを聞いてあげる、一緒に考える、自分の今までの経験を伝えるなど、そうした行動も組織への貢献になるのでは?」と。営業で成果を出さないと価値がないと思っていた心から解放されて視野がぐんと広がり、そこから行動が変わっていきました。行動量が増えてコミュニケーションが広がり、周囲の協力も得られるようになり、営業の成果へと結びついていったのです。
移籍後半は、特に神田さんらしさが発揮されていたと感じます。

—メンターを通じて、ご自身の変化や成長はありますか?

いつも成長させてもらっています。大内さんや神田さんからも様々な考え方を学びました。相手への問いかけは自分への問いかけにもなる。
「自分だったらどうするだろう?」と考える良い機会になっています。また、ミッションは? ビジョンは? など移籍者への問いかけとともに自分にも聞いているので、常に自分の軸を意識することもできますし。

この仕事は、自分の軸と同時に、物事を考える上での様々な視点を持っておくことが大事だと思うので、やればやるほど学びになっています。

成長に貢献でき、自分自身も成長できる。次はどんな方の伴走ができるのか楽しみです。

End

 

Interview:小林こず恵

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