ベンチャーを経験した越境人材が仕掛ける!「サントリーで“飲む楽しみ”以上の価値を届けたい」 増田 佑太さん
大企業に戻った今も、ベンチャーのようなスタンスで
── ベンチャーからサントリーに戻られて、約2年間が経ちました。現在はどのようなお仕事を担当されていますか?
最初の1年は、ブランド開発事業部という部署でマーケティングの仕事を担当しました。その後異動となり、現在は新規事業の立ち上げや推進を行なうイノベーション開発事業部で、「TAG LIVE LABEL」というサービスを担当しています。
レンタル移籍する前は営業の仕事をしていたのですが、現在は営業だけでなく、システム開発、マーケティング、サプライチェーンなど、バリューチェーン全体に携わっています。
── 大企業は分業のイメージが強いのですが、増田さんは幅広くご担当されているのですね。
そうですね。イノベーション開発事業部自体が小さめの組織なので、「この領域だけ」ということはなく、ベンチャーの時のように、何でもやるというか、手広く携わっています。
サステナブルなアパレルブランドを手がける「KAPOK JAPAN株式会社」というベンチャーに1年間レンタル移籍していたのですが、その際マーケティング、PR、在庫管理など本当に色々な経験をして、ベースとなる知識を蓄えられたことが現在の仕事にもダイレクトに活きていますね。
── 増田さんが担当されている「TAG LIVE LABEL」とはどのようなサービスですか?
簡単にオリジナルラベル飲料を作れる法人向けサービスです。専用の無地の缶飲料に、写真や場所、日付などが入ったオリジナルラベルをその場で印刷し、缶に貼り付けてお客様に提供することができます。ラベルは2層構造になっており、飲用後はステッカーとして利用することができます。そのため、グッズとしての側面も強い商品です。
サントリーから企業様へプリンターや専用システムを貸与し、企業様はお客様が指定したラベルの印刷と缶への貼付をし、お客様がその場でオリジナルラベルドリンクを受け取るという流れです。
最近では「推し活」という言葉をよく耳にしますが、ファンが多く存在するスポーツ、アニメ、アーティストなどと相性が良く、2023年4月のローンチ以降、100を超える企業や店舗で導入されています。グッズとしての側面が強い商品です。
例えば、映画館では日付や映画タイトルが印刷されたラベルドリンクが、お笑いライブでは芸人さんがプリントされたその日その場だけのラベルドリンクが販売されました。
お客様にとっては、”推し”の写真・画像入りの、その日その場所だけの特別な品となり、企業側にとってはオリジナルグッズを小ロットで在庫リスクなく提供できるサービスになります。
▼ 取組事例
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1424.html
ベンチャー経験があったから、
どんなに断られても謙虚に営業をし続けられた
── 飲料の新たな可能性を広げる「TAG LIVE LABEL」ですが、サービスの立ち上げは順調だったのでしょうか?
立ち上げ当初は苦労も大きかったです。僕はサービスのローンチと同時に異動してきたのですが、特に営業活動に苦戦しました。以前担当していた営業とは、全く毛色の違う営業だったんです。
以前は、主にスーパーに対して馴染ある既存ブランドの商品を提案する仕事を担当していました。皆にとって馴染みのある既存ブランドの製品を販売していたのですが、今回は新規のサービス。しかも企業様にとっては馴染みない、実績もない、オペレーションに不安があるサービスで、乗り越えるべきハードルが多くありました。
今回の営業は、お客様側の断る理由がいくつもあるんです。新規事業ゆえ、実績がないから受け入れてもらえなかったり、飲料なのに高いという反応があったり……。さらに、ターゲット企業はスーパーや飲食店など既存の顧客ではなく、エンタメやスポーツなど、新しい領域。ゼロからの顧客開拓は、一筋縄ではいきませんでした。
── 現在の導入企業数に至るまで、さまざまな苦労を乗り越えてきたんですね。
そうですね。大変でしたが、ベンチャーでの経験があったので、前向きなマインドを保つことができました。
ベンチャーにいた頃、自分たちとしてはいいものを作っている自負があるのに、なかなか市場で受け入れてもらえない経験をしました。ほとんどの人に知られていないベンチャーと、サントリーという看板を表に出さない今回の取り組みは、似ている部分があるように思います。
昔の僕なら、「なんで話を聞いてもらえないの?」と悔しい思いをしていたかもしれません。でもベンチャー経験があったからこそ、看板に頼らず、謙虚に丁寧に営業を続けることができたのだと思います。
── マインドの面でも影響があったんですね。増田さんご自身は、この事業に対してどのような思いで取り組まれているのでしょうか?
「お客様のお困りごとを解決し、飲料の新しい価値を提供したい」という思いで取り組んでいます。そもそも飲料は、喉を潤したり、楽しい瞬間のお供をしたりする存在です。しかし「TAG LIVE LABEL」は、グッズを作りたくても作れない企業様や、新しい提供をしたい企業様の悩みを解決できるもの。一般的に販売されている飲料とはまた違った価値を提供できる点が面白いと感じます。
動物園では象の赤ちゃんが生まれてすぐに、「誕生記念ラベル」を販売しました。他グッズにはないライブ感、スピード感で企業様も、お客様も喜んでくれましたね。
導入企業様が知り合いの方にサービスをおすすめしてくださった時や、店頭でお客様が楽しそうに選んでいる様子を目の当たりにした時は、すごくやりがいを感じますね。新たな価値を提供できていることを実感しています。
新サービス「Snap Drink」で大切な思い出をカタチに
── 今後も、新規事業としてTAG LIVE LABELに注力していくのでしょうか?
そうですね。サントリーには日本全国に広がる物流網があるので、「全国各地どこにでも届けられる」という強みを今後も活かし、サービスを拡大したいと思っています。
また、直近ではノベルティとしての展開も強化していきます。イベントの参加特典としての配布や、企業プロモーションでの利用など、販売以外の導入も増えてきているんです。ますます新たな価値を届けられたら嬉しいですね。
さらに、2024年4月には「TAG LIVE LABEL」の新サービスとして「Snap Drink」も展開しているので、今後はこちらのサービスにも力を入れていきます。
── 「Snap Drink」はどのようなサービスでしょうか?
お客様が撮影したスマホの写真を使ってオリジナルの缶飲料を作れるサービスです。これまでの「TAG LIVE LABEL」は企業が有するキャラクターや選手などをコンテンツラベルにしますが、「Snap Drink」はお客様自身がその場で撮った写真をラベルにします。観光地で撮った家族写真や、宿泊先でプロポーズした後の記念写真といった、大切な思い出をカタチに残すことができる点が特徴です。
企業や施設側は、フォトサービスとして撮影スポットを用意して人員を配置する必要がなくなりますし、SDGsの観点からも無駄な印刷を無くせるというメリットがあります。
お客様も選んでラベルにできるので、とっておきの写真とともに思い出を持ち帰ることが可能です。
── 増田さんは、現在は広く新規事業に携わっているようですが、今後事業を進めていく上で力を入れていきたいことはありますか?
ビジネスの川上から川下まで全体的に携わるようになったことで、自分に足りないスキルがありありと見えてくるようになりました。特に、事業戦略の面です。目の前の事業だけではなく、数年後先の未来まで描けるような力をつけていくことが現在の課題です。
さらに、マーケティングスキルや、アカウンティングスキルなど、経営戦略としての知識も必要だと思っています。現在まさに勉強中です。
── まるで経営者のような視点ですね。1年前、レンタル移籍を終えた後は「未開の国でマーケットを開拓していきたい」という目標を語られていましたが、現在の目標についても教えていただけますか?
現在も、同じ思いを抱いています。いつかは、サントリーという会社を世界に広め、マーケットをつくるチャレンジをしたい。これは変わらない想いです。
ベンチャーに移籍してあらためて感じたのは、100年以上に渡って築き上げてきたサントリーというコーポレートブランドと確立されたサプライチェーンの強みでした。今後も、歴史あるサントリーの強みを最大限に活かしながら、海外に広めていくというチャレンジ精神を強く持ち続けたいです。
そのためにも、まずは、今取り組んでいる「TAG LIVE LABEL」を活用して、新しい価値を多くの方々に届けていきたいと考えています。「TAG LIVE LABEL」の取り組みに興味を持ってくださった方がいたら、ぜひお話しできればと思いますので、お問い合わせいただけたら嬉しいですね。
Fin
▼ 「TAG LIVE LABEL」公式サイト
▼ 関連記事