大企業人材がベンチャーに行ってわかった、”必要不可欠なスキル5選”


 「外の世界でも通用する人材になるためには、どんなスキルを磨いたらいいんだろうか」。それは企業で働く多くの人が考えているテーマではないでしょうか。

 我々ローンディールでは、大企業人材が一定期間ベンチャーで働く「レンタル移籍」というサービスを提供しており、述べ120人を超える人材が、大企業に属しながらベンチャーで働くという経験をしております。そうして、ひとつの会社の中にいるだけではわからない様々な気づきを得ています。

 本シリーズでは、そんな「大企業人材が外に出てわかったこと」をまとめてお届けしています。以前は、「ベンチャーに行ってわかった。実は役に立った”大企業スキル5選”」をご紹介しました。外で実務を経験してはじめて、自身のスキルが見えてくるものですよね。

 そこで今回は「ベンチャーに行ってわかった。”必要不可欠なスキル5選”」をご紹介します。最先端のビジネス領域に飛び込み、持っている知識や、これまでのやり方が通用しない世界で、必要不可欠だと感じたスキルをまとめました。

 「確かに必要!」という納得感の高いものから、「これも大事なんだ…」という意外なものまで、特徴的な5種をご覧ください! みなさんの磨くべきスキルのヒントになれば幸いです。

01. 自ら探し求め、インプットし続ける
「情報探求力」

ひとつの仕事を長く続けていると、経験量も知識量も増え、頑張らなくてもある程度こなせるようになってしまうもの。”今ある中で”仕事ができてしまう環境にいると、どうしても新しい情報を取りにいくことを怠ってしまいがち。ましてや、新しい領域へ踏み込むことに躊躇してしまうのではないでしょうか。しかしベンチャーでは、過去の積み上げがない中で、はじめてのことに挑戦するのが当たり前。しかも、”関わる全員がはじめて”であることも少なくありません。そこで大事なのが、いかに必要な情報を自ら探し求め、インプットできるかということ。詳しい人に聞く、ネットで調べる、オープンデータを活用する、足を運ぶ……。方法はいくらでもあります。そうやって新しいことを吸収し続け、蓄積いくことで、活躍できる領域が広がるでしょう。

comment
”大企業にいると圧倒的にインプット量が少ないと感じる。移籍時に飛び交う言葉への理解が追いついていかないことがあった。世間のトレンド等にはもっと敏感になるべきであると実感した”
(建設・不動産業界 / 営業担当)



”知識、経験ともに自分よりもはるかに優れている方々が、日々勉強し向上心を持っている姿を目の当たりにし、危機感を感じた。世の中へ幅広く情報をつかみにいくベンチャーの姿勢と、社内の経験のみで完結してしまっている大企業での自分の姿勢に違いを感じた”
(メーカー業界 /  技術開発担当)

”大企業にいる時は、本当に狭く限られた知識の中で働いていたことに気付かされた。スタートアップでは自身の職種以外のことに取り組むこともある。人的資源が限られた状況では、知らない事を自力で学ぶ力が大事だと思った” (メーカー業界 /  研究・開発担当)

 

02 臨機応変に対応する
「軌道修正力」

先ほど挙げた「情報探求力」とセットで必要不可欠なのが、この「軌道修正力」。得た情報をもとに仮説を立て行動していく中で、思うように進まなかったり、想定とは違うことが当然起こります。そんな時、一度決めたことに執着せず、仮説を検証し、いかに素早く軌道修正して前進できるが重要になってくるのです。小さく試し、臨機応変に対応できる力があれば、未知なる領域にもチャレンジできることでしょう。

comment
”大企業ではまずタスクを決めて一度決めたスケジュールを実行していくことを良しとしているが、ベンチャーでは、正解がわかっているわけでもないので、実行してどんどん見直して進めていく姿勢が必要”
(メーカー業界 /  事業開発担当)

”いかに早くいかに効果的な仮説を立てられるか。そして、そこからアクションして仮説が正しかったかどうかを検証し、早く次の仮説立てに活かしてどんどん仮説の精度を高めるスキルが必要”
(メーカー業界 /  研究・開発担当)


03.覚悟を持って決断する
「意思決定力」

人的リソースが限られているベンチャーでは、一人ひとりが事業責任者的な立場で、判断し、進めていかなければならないことも少なくありません。
誰かが判断してくれるのを待っていたり、自らが決断できないことで業務が止まってしまうようでは、貴重な機会を逃してしまいます。また、「誰かが進めてくれるだろう」と、他人任せを繰り返していては、いつまで経っても自分の仕事はつくれません。そこで、「自分はどうしたいか」という意思を持ち、「自分がなんとかする!」という覚悟を持って向き合うことが大事なのです。日々の”小さな意思決定”の積み重ねが、決断力の向上につながっていくことでしょう。

comment
”自分が決めるんだという胆力・覚悟が大事。だれも答えをくれない中で、自分が判断し、その結果をすべて受け入れなければならない”
(ソフトウェア・通信業界 /  事業開発担当)

”人が少なくて裁量が広い分、物事に対する覚悟も大企業に比べて広く持つ必要があると思った”
(メーカー業界 / 研究・開発担当)

”大企業では、顧客や上司から仕事が与えられる。また、自分の意思がなくても、なんとなく仕事をしてこなすだけで評価される。一方、ベンチャーに行くと仕事は自分で見つけなくてならない。誰から頼まれることもなく、自分が決めてやらなくてはならない。だから、自分は何をしたいか、するべきかを考えて行動して、自分で決めていくことは本当に大事”
(メーカー業界 / 事業開発担当)


04. 自分の考えを臆せず伝える
「自己開示力」

「自分が発言すべき場ではないかもしれない」「こんなことを言って変に思われないだろうか」「わからないことを聞くのは恥ずかしい」。
そういった遠慮や不安から、自分の意見や困りごとを素直に伝えられないという方も多いのではないでしょうか。また、会社や自らが関わる事業のことは語れても、自分を主語に語るのは苦手、という人もいるでしょう。しかし、自主性が求められるベンチャーでは、黙っていて仕事が成立するなんてことはありえません。今、自分が何を考えていて、どんなことに困っているのか。自分をさらけ出し、アウトプットしていくことが求められます。

comment 01
”わからないことはわからないときちんと伝えるマインドセットが大事。アジャストするために素直に聞く、学ぶことが大事だと感じた”
(メーカー業界 / 営業担当)

”以前は教えてもらうことさえ恥ずかしいことだと思っていたが、すべてが新しいことばかりだから聞くしかないし、プライドなんて持っていたら進められないということがわかった”
(建設・不動産業界 /  新規事業担当)

また、資料づくりを求められた際、「完璧な状態で提出しなければいけない」という思い込みから、スピーディに進められず、機会を逃してしまったというケースも。一回一回の機会を大事にするベンチャーでは、未完成でも途中でも、どんどん周囲に開示して、磨いていくことが最善の結果を生むのです。

comment 02
”ボールを早く投げ返すスピード感や、粗々でも開示するマインドが大事”
(ソフトウェア・通信業界 / 技術開発職)

”中途半端でも構わない。むしろ自分の中にしまっておくことの方がリスク。どんどん開示したほうが良いこともたくさんあると知った”
(メーカー業界 / 研究・開発職)


05. あらゆるコミュニケーションで役立つ
「言語化力」

より良いコミュニケーションにおいて、なくてはならないのが「言語化力」です。自分の意見や思いをどのように言語に変換するのか? どのような言語を使えば相手に伝わるのか? あらゆるコミュニケーションのベースとなります。特にベンチャーは、初対面の人と接触する機会も多ければ、言語の異なる外国人やエンジニア、年齢や出身業界が全く異なる人の中で働くという、超ダイバーシティな環境も多分にあります。そんな中で、円滑なコミュニケーションのための言語化はもちろん、相手に興味を持ってもらうような魅力づけや、仲間を一致団結させていくような共感を生む言語を使えることも必須になってきます。

comment 01
”初見の人と会うことが多い中で、自分の魅力を印象付けるための言葉の使い方、話し方が大事だと思った”
(メーカー業界 /  新規事業担当)

”研究者や日本語がほとんど通じない外国人、エンジニア等、自分たちのフィールドを持った方々と仕事をする中で、改めて言葉にして伝える重要性を実感した”
(メーカー業界 / 研究・開発担当)

”言葉にして伝えられないと、アポイントが取れないし、不特定多数が集まるイベントなどでも、何もできずに帰ってくることになる”
(建設・不動産業界 /  新規事業担当)

また、最近ではリモートの強化により、Slack、メッセンジャーなどのオンラインツールのみでやりとりを行い、物事を進めていくことも増えてきました。そんなデジタルツールならではの言葉の使い方やコミュニケーション術も、これからは必要不可欠なビジネススキルとなってくるでしょう。

comment 02
”メッセンジャーやSlackでのやりとりについていけなくて、苦労した”
(メーカー業界 / 営業担当)

いかがでしたでしょうか。
これまで、特徴的な5種のスキルを紹介しましたが、これらはごく一部です。ここではお伝えできなかった経験が、以下マガジンよりお読みいただけますので、ぜひ合わせてご覧ください。

 

ー 今いる場所で実践してみると、変化が起こる。

ここで挙げたことは、大企業人材がベンチャーで働いてみたことで、必要不可欠だと感じたものですが、当然、ベンチャーだけではなく、今みなさんが働いている企業の中でも使えるものばかりです。決して特殊なものではありません。
少しずつ日常に取り入れていくだけでも、できることが増え、見える世界が変わっていくことでしょう、今いる環境で、一歩先二歩先に進めるきっかけにしていただけたら幸いです。

Fin

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【レンタル移籍とは?】

大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計47社 134名のレンタル移籍が行なわれている(※2021年5月1日実績)。

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