outsightをきっかけに生まれた“チームJTB”「社員全員を事業開発者にする」への挑戦

2023年度「交流を創造し挑戦し続ける、多様性あふれるダイナミックなブランド」へ進化することを目指し、リブランディングを実施した株式会社JTB。より積極的に事業開発へのチャレンジをしているJTBは、その挑戦の一環として、大企業の社員がベンチャー起業家の抱える経営課題に対して解決策を提案する実践研修「outsight(アウトサイト)」に、3期連続で参加。これまで15名が起業家のリアルな課題に触れてきました。

参加したのは、主に管理職手前のグループリーダークラス層。outsightに参加したことで、事業開発への挑み方がどのように変化したのでしょうか。そして、新たに生まれたチームJTBとは? 導入者であり、自らも参加したツーリズム事業本部 事業開発チームの福田敦さんにお話を伺いました。

管理職手前のリーダークラスにちょうどいい

ーーまず、outsight導入のきっかけを教えてください。
 
私の所属する事業開発チームでは「社員全員を事業開発者にする」という目標を掲げ、学習の機会を探していたんですが、そのときにoutsightの存在を知り、「めちゃめちゃ面白そう!」と思ったのが最初です。
 
外部企業やベンチャーとのネットワーキングの機会や、他流試合ができる場も必要だと考えていましたので、outsightはその両方どちらにもマッチしていて「これはちょうどいい!」と、導入を決めました。

福田 敦さん|株式会社JTB ツーリズム事業本部 事業改革推進部 事業開発チーム
1991年JTB入社。法人営業や企画部門に従事した後、現在の部署へ。主に社員主導の“ボトムアップ型事業開発”の人財育成や仕組みづくり、事業開発コンテストの運営等に取り組む。自身も事務局としてoutsightに参加。


ーー目標とかなりマッチしたのですね。

 
そうですね。JTBでは、約30年前から新規事業開発コンテストを行っていますが、現在は会社が主導する“テーマ”から取り組む事業開発と、社員の発意でスタートする“ボトムアップ型”の事業開発があり、私は後者を推進する業務をしています。

具体的には「JUMP!!!」という年1回の事業開発コンテストの運営や「JTB Tourism lab(ツーリズムラボ)」という通年のアイデアの募集とその磨き上げ、「事業開発人財BANK」という、事業開発をやってみたい社員と社内外の事業開発プロジェクトとの、部門を超えたマッチングプラットフォームの運営などをしています。
 
起業のハードルが低くなってきた今、他企業と共創して多様な価値観にマッチするサービスを生み出し、レガシーに頼らず新しい挑戦を続ける会社が価値を上げていくと思います。そのために、全ての社員が事業開発に取り組める環境整備を進めたいと考えており、outsightの機会もその一環として活用できると感じました。
 
ーーこれまで、outsightにはどんなメンバーが参加してきたのでしょうか?
 
事業開発コンテストに頻繁に応募したり、「JTB Tourism lab」のアイデアの磨き上げに参加している人たちを中心に声をかけ、5人ずつ3期で計15名ほどが参加しました。
 
職種は様々ですが、30代のグループリーダークラスが多いですね。グループリーダーは課全体を束ねる課長の下で、7~8人程度の部下がいる立場です。これまで自分の仕事にめいっぱい取り組み、今はそこから少し落ち着いて「部下の管理をしながら新しいことにも取り組んでいこう!」という意識が芽生える世代。
 
管理職手前のこの世代が参加し、ベンチャーのリアルな事業開発に触れ、それを職場で伝えていくことは、事業開発推進のカギになると感じ、背中を押してきました。

大企業の立場だからこそできた提案


ーー福田さんご自身も参加されたと伺いました。大変なことはありましたか?
 
毎週90分、ベンチャー経営者から経営課題を聞き質疑応答をして、翌週までに自分なりの解決策アイデアをまとめるプログラムなので、やること自体はそんなにハードではありませんでした。
 
ですが、そこに対してどのくらい時間を取って解決策を考えるか、どれくらい深く思考するかで結果が大きく変わってきますので、そこへの挑み方が大変でした。
 
最初は、あまり時間を取らなかったんですね。正直、仕事で事業開発をしているので、ある程度は通用するだろうと思っていたんです。でも実際にはどんなにアイデアを出しても、箸にも棒にもかからなくて(笑)。「このまま過ごしていてもダメだ!」と思い、思考する時間を延ばしていきました。


ーーJTBで取り組んでいた事業開発のやり方とは、なにか違いがあったということでしょうか?

 
全然違いましたね。outsightで私は夢物語というか、「こんなことが実現できたら良いな」という視点でアイデアを提案していたんです。
 
でもベンチャーで求められるのは実現可能性。「実利になるか?今できることは何か?」を考えているのだと強く感じました。「自分たちも事業開発をするとき、夢物語になっていないか?」という視点も新たに持つようになりました。
 
また、自分たちが考えるアイデアは、ベンチャーではすでに検討済みだったことも多くて。そう思うと、自分たちが事業開発をするときも「徹底的に1から100まで様々な可能性を考えられていたのか?」と、自問自答するきっかけにもなりました。
 
そのほかにも、ベンチャーではリソースが圧倒的に少ないので、様々な検討を重ねたうえで「何をやらないか」を決めていました。創業者の想いや会社のパーパスに立ち返る姿勢も間近で見て、学びになりましたね。
 
ーー大企業の立場だからこそ提案できたこともありましたか?
 
私ではないのですが、自社のメンバーがベンチャー経営者に対し、「こういう企業とコラボレーションをしたらどうですか?」と提案したことがありました。私たちにとっては身近な企業だったのですぐに浮かんだのですが、でもベンチャー側にはなかった視点のようで。他企業の参加者からも「そういった視点があったんですね!」とコメントがあったそうです。

私たちが持っているネットワークは意外と有益だったんだなと、そのとき初めて知りました。

他流試合を通じ、社員の“事業開発視点”に変化

 
ーー導入を決めた際、「他流試合の機会を設けたい」という動機もあったと思います。その点ではいかがでしたか?
 
他企業の方と議論しながら自分の考えをブラッシュアップする経験は、JTBの中でもそうそうありません。お互いの利害関係なく一緒に考える機会もないので、とても良かったです。
 
刺激や気づきも沢山ありました。たとえば、こだわりや“偏愛の強い人”が良いアイデアを出すというのもそのひとつです。そういう人がひとりいると面白いアイデアが出てくると感じました。また、高評価を得られるアイデアを出す人は、しっかりと勉強しているという刺激も受けました。
 
ーー参加した他のメンバーにも、変化や動きはありましたか?
 
そうですね。参加した社員が自主的にLINEグループをつくり、そこで議論を始めたんです。普段関わらない部署のメンバーがつながったり、個別にアイデア相談もしていたようです。まずここで、“チームJTB”としてのつながりができたなと。
 
また、これまでもセミナーなどを通じて、事業開発の基本的な考え方を知っていたと思いますが、実践する機会はそうありません。その結果、的を得ていない提案も、事業開発コンテストには多々挙がってきていました。
 
でもoutsightでは、そんな提案をしているとベンチャーの方から必ず指摘されます。それを経験したからか、outsightに参加したメンバーが参加後に出してくる事業アイデアには、視点の変化が見られるようになりました。事業提案の面でも、成長を感じています。


ーー最後に、福田さんが今後チャレンジしたいと考えていることを教えてください。

 
「JTBから、世の中をひっくり返すような事業を生み出したい!」と思っています。たとえば、現場で起案したものが事業化し、それを作った人が社長になって出ていくような流れができると、社内の事業開発が盛り上がる大きなきっかけになると思うんですよね。
 
そういう事業を1つでも2つでも作りたいなって。 そのための土台作りに、これからも取り組んでいきたいですね。

社を挙げた事業開発推進は30年続く歴史あるものですが、ここからさらに、より実現可能性の高い事業開発を目指し、邁進していく覚悟が伺えました。outsightを通じて新たな視点が加わり、今後ますます面白い事業が生まれていくことでしょう。

Fin

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協力:株式会社JTB
インタビュー:大沼 芙実子
提供:株式会社ローンディール
https://loandeal.jp/


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