【最終章 確信に変わった】結果を出したい!〜お祭りの現場で見つけた、ビジネスをつくるヒント〜

今回の主人公は、株式会社オリエンタルランドから、全国のお祭りを支援するベンチャー企業、株式会社オマツリジャパンに移籍した大内花菜子(おおうちかなこ)さん。大内さんは2018年6月から移籍を開始し、6ヶ月間の移籍を終えて2018年12月に帰って来ました。そんな大内さんのストーリーを全4回でお届けしていきます。

<過去記事>
第1章 このままじゃいけない
第2章 売上をつくれない
第3章 成功確率が見えない

【最終章 確信に変わった】
—どれだけ人を巻き込めるか?

萩市の土地勘がなかった大内は、ガイドブックで調べるのみならず、萩市が抱えている課題や、萩市そのものについての下調べを丁寧に行った。
クライアントについての理解を深めることで、要望に沿った提案が出来ると思ったからだ。
集客するために必要な要素は何か、萩市らしさをどのように伝えたら良いのかなど、相手が達成したいことを引き出しながら提案をまとめていった。

その結果、「外国人向けのナイトツアー」の実施が決定。
オマツリジャパンの強みである外国人観光客を対象にした企画だ。

さらに後日。
萩市の担当者から「萩に縁もゆかりもない大内さんが色々なことを勉強して真剣に考えてくださっていることに刺激を受けました。頼りにしています」という一報が届く。

大内は萩市の課題を解決するためにはどうしたらいいかを本気で考えてプレゼンした。その本気の想いが伝わり、信頼関係が築けたのだと思った。

実際、当日までの準備を含め、萩市の担当者はかなり協力してくれた。

心から嬉しかった。そして新鮮だった。
大内は今まで、理論武装をしてものごとを進めてきた。
ロジックが明確であればであれば、それで理解してもらえると思っていた。

しかし前例がない中で、より成果を出すには、想いを共有し、どれだけ人を巻き込めるかが大事であり、信頼関係につながると思った。

—自分って、こんなに頑張れるんだ

イベント前日。
すでに外国人の集客は十分行っていたものの、もっと増やしたいという想いから、大内は萩市に前日入りして、ゲストハウスを訪問したり、外国人が訪れそうなところにビラの設置を依頼したり、あらゆる手を尽くした。

そして迎えたイベント当日。
多くの外国人が集まり、昼間からお祭りに参加してくれていた。
衣装を身に纏い、武士や大名に扮し、街を練り歩いていた。

大内は、外国人観光客が地元の方とコミュニケーションを取りながら衣装の着付けをしていたり、一緒に写真を撮っている様子を見ながら、安堵と共に、胸が熱くなっていた。

また、萩市の人から「外国人の方の対応をお願いします!」とヘルプの要請を受けることもあり、大内の仕事ではなかったものの、会場を走り回っていた。

現場で対応するという経験をすごく久しぶりにやった気がした。
オリエンタルランドでは、企画という立場からデスクワークが多い。
顧客に触れるのも、販売するのもキャスト。
何かトラブルがあったとしても、自分が現場で対応することはない。

「ここ数年、こんなに汗をかいたことがあったかな。私って、こんなに頑張れるんだ……」

思わず嬉しくなった。
いい汗をかいた。
そしてまた信頼関係が強まった。
大内にとって、確かな手ごたえを感じたお祭りだった。

画像2

自身も衣装をまとい、イベントを取材する大内

▽大内が実際に書いたイベントレポートはこちら▽

https://omatsurijapan.com/blog/hagijidaimatsuri_report

—自分の業務範囲を超えて

大内は今回の萩市の経験を経て、自分の業務範囲を超える、という経験をした。今までは「あなたの担当はここ!」と言われた中で業務をしてきた。

当然、自分の業務の範囲外でも、課題があることには気づいていた。
しかし、自分に与えられた業務の中で評価をされるため、それ以外のことをやっても評価にはつながらない。だから何もやってこなかった。

でも今回は違う。
評価とか自分の業務とかの話ではなく、やる必要があるからやったのだ。

振り返ると、オマツリジャパンでは皆がそうだった。
全員一丸となって目の前のことをクリアしていくために、担当範囲外のことでも、課題があったら解決するし、困っているメンバーがいたら手伝う、それが当たり前だった。

大内は仕事の本質に触れた気がした。
萩市のイベントを終え、季節はすっかり冬になろうとしていた。

もう11月末、移籍が終わる。

ようやくビジネスの本質に触れ、売り上げ実績も、現場での経験もでき、これからどう大きくしてくかという時期。まだやり足りない気持ちもあった。あと半年頑張って、協賛事業をちゃんと仕組み化したいという想いも強かった。

ただ、その熱い気持ちを残したまま自社に戻れたことで、大きな原動力となった。引き継ぎを無事に終え、大内の半年間のお祭り生活が終了した。

—確信に変わった

大内がオマツリジャパンにいた時、様々な大企業から取り組みの提案を受けていた。

協賛というよりも、「何かできないか」という共同事業の提案。
当時、決定した案件はなかったものの、「この取り組みを実現することで、オマツリジャパンの可能性が広がる」そんな魅力的な提案もあった。

「やっぱり他の会社もパートナーを探している……」

大内は確信した。
もともと、社内のリソースだけで企画をすることに限界を感じ、社外との取り組みを視野に入れていた大内は、社外パートナーと組むことで、自社ビジネスが拡大するイメージが持てた。お互いにとってプラスになる関係を築き、会社をもっと大きくしていきたい。

そして将来的には、新しい分野を創造できる人間になりたい。
移籍終了からしばらく経ったある日、大内はマネージャーと面談していた。

「人の話を聞き入れるようになったな」そう言われた。
自分では実感がなかった。
でも、同じようなことを先輩からも言われるようになった。

仕事への姿勢が変わったと言われたこともある。
変わったかどうかは自分では分からない。

もしかしたら、論理だけで片付けようとする思考や、自身の業務範囲に囚われるといった意識が変わったからかもしれない。

ポジティブなフィードバックだったというのもあるが、周りが変化を感じてくれるのは嬉しい。しかし、大内は自分を変えるためだけにベンチャー企業に行ったのではない。

自分のため、会社のため、そしてゲストのためなのだ。
だから本当のフィードバックはこれからだと思っている。

ゲストにより楽しいエンターテインメントを提供すべく、大内は今、オリエンタルランドの持つ強みと組み合わせることのできる外の力を探している。

END

 

「&ローンディール」編集部よりお知らせ!
【参加者募集】7月3日(水)開催
「ローンディールフォーラム2019 人材流動化の先にあるもの」

画像3

昨年5月に開催し、250名もの方にご来場いただいた「ローンディールフォーラム」を今年も開催します。今回のフォーラムでは「人材流動化の先にあるもの」と題して、レンタル移籍を経験した方々による事例紹介、大企業のマネジメント層の方々による社外経験が組織にあたえる影響についてのセッション、さらに、特別ゲストをお招きし「人材の流動化」についてのパネルディスカッションを行います。ぜひご参加をお待ちしております。

<イベント概要>
日程:2019年7月3日(水)
時間:15:00〜18:30 終了後、会場で懇親会あり。
場所:Base Q(東京ミッドタウン日比谷 6階)
費用:一般 3000円(税込)
           早割 1500円(税込)※ 5/21までのお申込の場合
詳細・お申し込みはこちら → https://eventregist.com/e/loandealforum2019

 

協力:株式会社オリエンタルランド、株式会社オマツリジャパン
storyteller:小林こず恵

関連記事