「自らをアップデートし続けた、ベンチャーでの180日間」大和ライフネクスト 服部翔太さん-後編-
今回の主人公は、マンション、ビル、ホテルなどの総合不動産管理を行う大和ライフネクストに勤め、4年目となる服部翔太さん。レンタル移籍先は、世界初の排泄予測デバイス「DFree」を開発し、福祉・医療業界の課題解決を目指すトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社です。
社会課題に取り組むトリプル・ダブリュー・ジャパンを移籍先に選び、意気揚々と移籍スタートを心待ちにしていた服部さん。しかし、コロナの影響で福祉・医療業界が危機的状況に置かれ、思うように営業をかけることもままならない日々。この状態を脱するために、どんな取り組みを行ったのか。また、レンタル移籍を通じて得たものとは。今回は、後編のストーリーをお届けします。
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新しく立ち上げたおむつのサービス
コロナの影響でなかなか思うように営業活動ができない中、トリプル・ダブリュー・ジャパンでは新たなサービスに着手しようという話が持ち上がります。コロナの影響により、介護施設や病院ではどのような問題が起こっているのかをリサーチした結果、おむつを従来の金額よりも安く定額で販売するサブスクリプションのサービスを立ち上げることになりました。たくさんの介護者を抱える場所におむつを安定して確保できるために。なかなか外に出られない状況下でも、お年寄りがおむつを安心して安く手に入れられるように。まさに社会の課題解決のためのサービスです。
「『おむつをどうやって入手しているのか』などをリサーチするところからはじまり、サービスをどのように認知させるのか、金額設定は、そのための仕組みは…などゼロからサービスを作り上げていきました。BtoB、BtoC、どちらにも提案できるサービスを状況や環境に応じて、リアルタイムに生み出していく。まさにこれまで学んだことをフル活用する機会でしたね」
レンタル移籍当初は、目の前の業務をこなすのに精一杯で、外部から来た「お客さん」のようだったという服部さん。取締役の小林正典さんと共に行動し、学びを得るうちに、トリプル・ダブリュー・ジャパンの一員としてどう考え、動くことがベストなのかということがはっきりと見えてきました。
この頃には積極的にアイデアを出し、代理店向けのオンライン説明会の開催など服部さんの意見が登用される場面も多々ありました。半年間にわたり、トリプル・ダブリュー・ジャパンで働く中で、「大企業とベンチャーの大きな違い」に気づくこともあったそうです。
「大企業は、マニュアル化されたルールや過去の成功法則など、自社なりの『答え』を持っている。だからこそ、わからないことがあっても、誰かに聞いたり、調べたら答えにたどり着きます。しかし、ベンチャーにそれはありません。みんなが手探りで進むからこそ、私のような知見がない人にも『どう思う?』と聞いてくれます。自分の意見を聞いてくれることがうれしい反面、『結果につながるだろうか』という大きなプレッシャーも感じていました」
自分たちでしっかりとリサーチし、どう動くのかを考え、行動する。一見シンプルだけど、成功するかどうかは自分たち次第。確かな情報をたくさん集め、いかに早く行動するかということを、服部さんは意識していたそうです。
誇りをもって取り組んだ、最終月
その甲斐あって、レンタル移籍の最終月となった10月には、「DFree」導入施設3件、導入台数5台という、うれしい結果を残すことができました。
「自社の製品は利用者に負担がないように、軽量化やデータ分析など多方面でアップデートを繰り返しています。以前とどこがどう変わったのか、これまでできなかったことがどのようにできるようになったのか、商品の特色とお客様の要望をリンクさせてお伝えするように心がけました」
インタビュー中におもわず「自社」という言葉が出るぐらい、「DFree」への愛着をもっている服部さん。そういった熱意がお客様に伝わったからこそ、結果につながったのだと思います。
「正直、レンタル移籍は6ヶ月じゃ足りなくて、もう少しやりたいと思うほどでした。自分が導入を決めた施設へ、納品し、しっかりとフォローしたかったですね。おむつの定額販売のサービスもこれからというときだったので、途中でプロジェクトから抜けるのは辛かったです」
指南役だった小林さんや社員の方々との関係性も、6ヶ月で大きく変化しました。最初はポーカーフェイスで、きっぱりと物を言う小林さんにオンラインのみということもあり、少し距離を感じることもありましたが、会社の未来を思い、仕事に打ち込む姿を見て、この人の力になりたいと思うようになったそう。
「一緒に働くことで『こうやって人は慕われるんだな』と、小林さんをはじめとするトリプル・ダブリュー・ジャパンの方々の人間力を感じました。若手社員のうちの一人は、トリプル・ダブリュー・ジャパンが世の中の介護を取り巻く問題に、真剣に取り組んでる姿勢に惚れて転職してきたんだと聞きました。『この仕事ができていることが幸せ』だと言っている姿をみて、かっこいいなと。自分もこんな気持ちで働きたいと思ったんです」
変化した仕事の取り組み方
レンタル移籍終了後、服部さんには大きな変化が待っていました。移籍前にいた横浜支店から、タワーマンションの管理を担う別支店への異動。さらにはマンションにお住まいの居住者に向けたサービスを取企画・開発も兼務することに。
「今回のそれぞれの業務を兼務するということ自体、自社では初の試みなんです。ゼネラリストである必要性を僕自身が体感したばかりだったので、うまく軌動に乗せて社内でも浸透できればと思っています」
また、Zoomやチャットでのやり取りなど、レンタル移籍で得た知識が活かせることはどんどんと取り入れていきたいと話す服部さん。「大企業ではなかなか浸透しにくいのでは?」と尋ねると、コロナの影響により大和ライフネクスト内でも、変化があったんだとか。
「レンタル移籍後に会社に戻ると、コロナの影響でZoomやチャット、電子承認などの取り組みを積極的に取り入れていて、すでに大きく変化していました。上長との距離が近いこともあり、提案もしやすい。ですから、学んだことはどんどん提案していきたいと思っています」
また、レンタル移籍後、以前から取り組んでいる仕事に対しての考え方にも変化があったと聞かせてくれました。
「これまでは、主軸であるマンションの管理という委託業務に、プラスアルファでどのように利益を乗せていくかということに注力していました。けれど今は、委託業務のサービスの価値をさらに高めて、継続的な利益を生み出すことが大切なんだという考えに変わりました」
6ヶ月で得た生み出す力
トリプル・ダブリュー・ジャパンで多岐にわたる仕事を経験したからこそ、自分の仕事の取り組み方を見直す事ができたと話す服部さん。自らPDCAを回し、同時進行にいくつもの仕事を受け持つことで視野が広がり、発想力も養われた実感を感じたそう。また、小林さんら経営陣から直接レクチャーを受けたことで、マネジメントする上での学びも多かったそう。
「これまではコミュニケーションを重視し、相手の意思を汲み取ることを心がけていましたが、やさしいばかりでは伝わらないこともあるのだと感じました。小林さんのように、言べきところは、はっきりと伝える。しっかりやっていれば、その背中で伝わることもあるんだと」
レンタル移籍を通じて、ベンチャー企業での働き方や考え方だけでなく、マネジメント上での気づきも得られたという服部さん。この経験を活かし、新しい配属先でスキルアップをはかり、これまで以上に活躍したいと今後の目標を語ってくれました。
「あたらしい配属先では、客層が変わり、これまで以上に高い折衝能力を求められる場面があると思います。しかし、どんな場面であっても、顧客が求めているものは何か、どんなことに困っているのかをリサーチし、新しいサービスや企画を作れるようにしっかりとPDCAをまわしていきたいですね。この先の未来のためにも、レンタル移籍で得た学びを活かし、もっともっと自分で生み出す力を身に着けたいと思っています!」
約6ヶ月にわたるレンタル移籍で多くの学びを得た服部さん。インタビューの最中も1つ1つ自分のこれまでの時間を確かめるように、丁寧に言葉を選び、経験を語ってくれました。トリプル・ダブリュー・ジャパンでも、こういった服部さんの丁寧で謙虚な姿勢があったからこそ、周囲の人との関係性が育まれ、多くの得るものがあったのではないでしょうか。新しい配属先でも、きっと大活躍されることでしょう。
服部さんのこれからの活躍が楽しみですね。
Fin
協力:大和ライフネクスト株式会社
トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
文:三上 由香利
写真:宮本七生
<トリプル・ダブリュー・ジャパンよりお知らせ>
● おむつ・パッドの月額定額使い放題プラン サービス
服部さんが、トリプル・ダブリュー・ジャパンで立ち上げた「介護施設向けおむつ・パッドの月額定額使い放題」サービスです。詳細は以下よりご覧ください。
https://www.value-press.com/pressrelease/260003
【レンタル移籍とは?】
大手企業の社員が、一定期間ベンチャー企業で事業開発などの取り組みを行う、株式会社ローンディールが提供するプログラム。ベンチャー企業の現場で新しい価値を創りだす実践的な経験を通じて、イノベーションを起こせる人材・組織に変革を起こせる次世代リーダーを育成することを目的に行われている。2015年のサービス開始以降、計45社121名のレンタル移籍が行なわれている(※2021年1月1日実績)。