かっこいいHRBPなんてない。現場から紡ぐ、私の人事哲学〜パナソニックインダストリー山口さんと語る“人事のキャリア”〜【人事のための対話会レポート #48】
こんにちは。ローンディールの野島です。
今回は、2026年6月に開催された「人事のための対話会」の様子をダイジェストでお届けします。
ローンディールでは月に1回、人事の皆さんの越境機会として「人事のための対話会」を開催しています。大企業・ベンチャーを問わず、人と組織の可能性を信じ活動をされている方々が集まり、特定のテーマに対して他社事例を聞いたり、それぞれの課題を共有しながら意見交換する——そんな場です。
今月は、パナソニックインダストリー株式会社の山口達弘さんをゲストにお迎えし、「『かっこいいHRBP』なんてない。現場から紡ぐ、私の人事哲学」というテーマについて、皆さんと考えました。
山口さんご自身のキャリアの歩みや、現場での葛藤、そして人事として大切にしてきた姿勢を手がかりに、その問いを深めていきました。
目次
「人事は、人の人生を預かる仕事」——山口さんの原体験
山口さんは、2009年にパナソニックへ入社されました。 元々、 営業志望でありながら、人事 ・事業人事(HRBP) に配属されたそうです。
転機の一つになったのは、 入社3年目の 2012年。パナソニックと三洋電機の経営統合の時期でした。 経営統合の中で、リストラを伴う構造改革を推進、まさに 組織が大きく動く中で、人事という仕事が持つ”重さ”に直面します。
人事は、単に配置や制度を扱う仕事ではない。
経営から「人と組織」を預かり、ときに一人ひとりの人生にも深く関わる仕事である。
その実感が、 元々、人事志望ではなかった 山口さんの人事としての 「志」の 原点になっていったそうです。
お話の中で印象的だったのは、人事の仕事には、前向きな施策だけでなく、 事業の 厳しい局面で人や組織に向き合う 必要 もあるということでした。
人事の仕事は、目の前の事業の状況に応じて、一人ひとりに向き合っていく。一方で 、 短期の視点だけではなく、 長い時間軸で人と組織の可能性を見つめること。5年後、10年後に組織がどう変わっていくのかを見据える視点が必要になる。その両方を行き来する仕事なのだと感じました。

「一次情報で勝つ」——現場に入り込むことの意味
山口さんが繰り返し語られていたのが、「現場 ・事業 を知ること」の大切さでした。その原点となったのは、 新入社員の時、 上司からかけられた「 君が私に勝てる方法は、現場の 一次情報をとらなければ、私には勝てない」という言葉だったそうです。
資料や数字だけでは、現場で起きていることは見えてきません。山口さんは自ら工場に足を運び、部長層から一般社員まで幅広い人たちと対話を重ねてきました。
制度や仕組みを語る前に、人と組織のリアルに向き合う。
今回のタイトルでもある「かっこいいHRBPなんてない」という言葉にも、多くの方が反応されていました。
山口さん曰く、十数年のHRBPの経験を通じて、HRBPの仕事は
- 現場に足を運 び、対話を通じて、現場・事業の一次情報を入手する。
- 現場からの生の声をもとに、自らの仮説を経営者へ提案する。
- 経営の意図を受け取りながら、現場の葛藤も見つめる。
- 周囲を巻き込みながら、少しずつ変化をつくっていく。
というものです。
HRBPというと戦略的でスマートなイメージがありますが、実際には現場に足を運び、一人ひとりの声に耳を傾け、経営と現場の間を行き来しながら変化をつくっていく——そんな泥臭い営みの積み重ねの中でこそ、信頼と価値が生まれると感じました。

「想いを、動かせ 。」——1ミリの変化から始める
今回の対話会でもう一つ印象的だったのが、「想いを、動かせ 。 」という言葉でした。
この言葉は、パナソニックインダストリーの人財戦略コンセプトです。
今、山口さんは全社人財戦略担当で、一人ひとりの想いを起点に、人と組織が成長し続ける 会社を目指しています。

大きな制度改革や全社変革だけが、人事の仕事ではありません。
- 明日、誰かに声をかけてみる。
- 少し踏み込んで話してみる。
- 現場にいる知り合いを一人増やしてみる。
そんな小さな一歩でも、1ミリでも動いていたら、「想いが動いた」状態なのだという山口さんの言葉に背中を押された方も多かったと思います。
参加者の皆さんとの対話では、次のようなテーマが共有されました。
- 人事としての原体験や、大切にしていること
- 個人の幸せと会社の方向性をどうつなぐか
- 人事施策の背景や思いを、社員にどう伝えるか
- 自分は、どんな『想い』を持って動きたいのか
山口さんからは、「まずは現場に 気軽に話せる組織責任者の 友達をつくる」「 人事だけ でやろうとせず 、 トップを巻き込む」「人事 、特にHRBP が現場に入る武器として組織開発 を学び、アプローチ を してみたら 」といった具体的なアドバイスもありました。
おわりに
今回は、山口さんのキャリアと実践を通じて、会社の規模や業種を問わず、「現場との距離」という共通の悩みが浮かび上がり、活発な意見交換が行われました。
また、「良い人事とは何か」「人事のキャリアをどう歩むのか」について皆さんがご自身のことを考える機会となりました。
参加者の皆さんの声をご紹介します。

次回は7月21日(火)11:00〜12:30を予定しています。
実践女子大学 人間社会学部 准教授の初見康行さんをゲストにお迎えし、ワークエンゲージメント・若手育成をテーマに開催予定です。
ご興味をお持ちいただいた方は、対話会フォーム よりお気軽にお問い合わせください。
